九州小倉に天寿しあり 握りの世界を広げる九州前創作寿司
九州への旅で最初に訪れたお店
口コミサイトをはじめ、いろいろな情報から、是非行ってみたいと思っていたお店の一つだったけど
5席しかないお店ということで予約が取れるか心配だったが、数日前でも早い時間であればとることができた。
予約は17:30ということだったので、少し早めにホテルを出て周辺を散策し、店が開くのを待って店内へ
店は通りに面したビルの1Fにあり、駐車スペースの分店の入り口がセットバックしている
すっきりとした入口周りと暖簾 お客様をお迎えする生花が活けられている
カウンター席5席のみのすっきりとした店内
5席だけのお店にしてはとてもゆったりとした感じで、隣同士の間隔も広く、気遣いせずに済みそうだ
カウンターは中から握りを提供する一枚板の天板があり、その下に石で造られた段には、握りを掴んだ指先を濯げるように、後席の数だけ上部から水が常に注がれている
客が5人揃ったところで、ご主人のご挨拶 この緊張感 何かの儀式のような感覚を覚える これがまたすごくいい感じ
これから出される握りへのワクワクする期待感と、なぜかドキドキする緊張感
この店の大将、天野氏は握りの王道「江戸前」に対し、「九州前」を自負していらっしゃるとか
握りを出すにあたり、ムラサキ(醤油)は出さず、塩とカボスで仕上げた握りをそのまま食べていただくというスタイルをとられている
また、先代より、店では酒類を一切おかず、そのため造りなどのつまみ料理も提供しないという徹底ぶり もともと先代が屋台で始められたそうで、酒は蕎麦屋でという当時からの流れを踏襲されているそうです
大将曰く「まだ酒を仕入れるお金がたまっていないものですから・・・(笑)」と笑いながらおっしゃっていました
まず初めにカウンター上段に ざく切りのきゅうりとガリが置かれた ガリは少し甘めな感じで辛みは少なくいくらでも食べられそう
そして、初めの握りはいきなり?マグロのトロ
口の中でとろけるような舌触りと旨み それでいて脂のしつこさがまったくと言っていいほど残らない
一握り目からいきなりの右ストレートを食らった感じ
次に出てきたのは水イカだったか 細かい包丁が入れられ、炙られているのか美しくカールしたその上にウニとトビコ?が乗っている
口に入れると、イカの食感にウニのコクが加わり、さらに振りかけの味や食感が口の中で踊る感じ
単なるイカの握りとはまるで別世界
続いて出された車エビ
これ、ご主人の説明では、ベストの状態で提供するために、お客様の顔を見てから茹でるんです それも、茹ですぎて中まで火が通ってしまってはせっかくの海老の食感が台無しになるので、さっと湯にさらすだけとの事
確かに茹でられたその表面は赤くなっている が、 この海老なんと生きてる 茹でられ頭を取られた上、背中を開かれてシャリとともに握られたこの海老 シャリの上でビクビクと動いているではないか!!
隣のお客さんと顔を見合わせ 声をそろえて すごい!! 思わず動画で取らなきゃ!(笑)
口に頬張ると茹でたとは思えないぷりっぷりの歯触りと、海老の旨み、それにカボスが効いていてとても美味しい
しめ鯖には昆布と浅葱
こちらの酢でしめられてはいますが、しめ過ぎず生の食感や味が活きています
ホタテ貝柱にはツメが塗られて出てきました これは珍しい でもこの甘いツメが意外によく合っていました
そのあと白身の魚 ヒラメ 上に乗っているのはヒラメの肝だそうで、初めていただきましたが肝がとても美味しく、口に入れたとき、比較的淡白なヒラメの身にこの肝がググッと押し広げるように味の深みが広がります
ヒラメの肝は一匹から取れるのは極僅かしかないので、とても贅沢な一品です
太刀魚の炙り 皮目が香ばしく炙られ、身自体も半分火が通った感じの握りでした これが生の身の握りとはまた違った焼き魚っぽい甘みが感じられておいしかった
これは鮪のづけ といっても、一般的な醤油のづけではなく、鮪から取った出汁に漬けてあるそうです
握り意外に出される汁物 澄まし汁と赤出汁があり、どちらか選べるということで、澄ましを選択
網の上でさっと焼かれたキス
こちらはアジ 上に乗っているのはおろし生姜と粉醤油 巷でも最近粉醤油や粉末に加工された出汁醤油、ドレッシングなどが流行りかも・・・
それはともかく、このアジがまた旨い
で、何かと思えば、先ほどの握りで出てきたエビの頭の部分を焼いたもの 甘くておいしい
こちらはサザエ 上にオクラが乗っています
で、真鯛 皮目がさっと炙られ、包丁が入れられています
ウニ 軍艦の中にたっぷりのウニが綺麗に詰められている
汁物はお代わりしてくださいね とのことなので、今度は赤だしをお願いしてみた こちらもいいお味です
終盤になり、焼きアナゴ
〆にネギトロ巻 ネギトロとは鮪の中落ちをへらなどで〝ねぎとる〝ということから派生した呼び名だと言われていますが、このネギトロもまさにそんな感じ 滑らかな舌触りでとてもおいしい
そして玉子 これは甘い玉(ギョク)ではなく、優しい味でした
最後にデザートのメロン
今回初めて訪問させていただきましたが、噂に違わぬお店で、出てくる握り一つ一つが一品料理として完成され、新たな発見や感動がありました。
握りのほとんどはカボスが絞られ、そのせいか後口がとてもさっぱりとしています
また、ご主人は握りを出しながら、お客とのコミュニケーションをすごく大切にされているのも感じられました
話を伺っている中で、私が滋賀から来ていると伝えると 「滋賀なら”しのはら”さんはごぞんじですか?」と以前行ったことがある滋賀でも名のあるお店の名前が出てきて、そこの主人とも面識があるとのことでした。
名刺を交換させていただいたところ、食関係の仕事ということからか、北九州本をいただきました これを見ながらまたいろいろなお店に行ってみなければ(*^_^*)
冒頭のご主人が出ているのはこの本です
いろいろなお話を伺い、楽しく食事させていただいた帰り、宜しければ記念にと一緒に写っていただきました(^^ゞ
また機会を作って是非食べに行きたいと思います。
このお店 旨旨旨っ!!!です
訪店日:2014年10月29日
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